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不登校・神経発達症

子どもの牛乳の飲みすぎと発達・学力との関連

国語塾に通ってくださっていた生徒さんのお母様に、食生活についてのアドバイスをしたところ、こんなお声が寄せられました。

息子が大量に牛乳を飲むのですが(1日1.5リットルぐらい)、気に入らないことがあると直ぐに怒ったりします。それがこの1週間ほど、1日コップ1~2杯程度を飲むようになったら、とても落ち着くようになりました。上の娘とも、(すぐ怒ったりしていたのは)牛乳のせいだったのではと話しています。
息子本人も、
「(たしかに)牛乳を沢山飲むようになった、小学校3年生から言う事を聞かなくなったかも」
と言っています。
(その後、ご子息様だけでなくお嬢様も検査で不耐がわかり、二人とも牛乳は控えるようになったとのことです)

牛乳・乳製品を摂取することで体に起こること

栄養面からではなく生化学からみた時の牛乳とは

「牛乳にはタンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンがバランスよく含まれています」
このように私たちは教わってきました。そして、実際に含まれている栄養素に目を向ければ、確かにそうだと思えます。


しかしここには、体に摂取した後の、

「分子レベルでの化学変化の連続が、どのようなメカニズムで働くのか」

といった視点がありません。

1.リンの過剰摂取による骨からのカルシウム溶出

牛乳はカルシウム摂取源として有名になっていますが、牛乳のカルシウムは、牛の赤ちゃんが飲んで吸収されるようなミネラルバランスになっています。
そのためリンという物質が多く、人間がこれを飲むと、必要以上のリンが入ってきたことにより、体内の骨や歯からカルシウムを溶かしてそのリンと結びつけるといった働きが行われることがわかっています。

リンはほぼすべての食物に含まれています。
また添加物として利用されるため市販品に特に多く含まれています。学校給食で毎日飲む牛乳や、おやつなどで食べる乳製品が加わることで、さらにこうした働きが増長されるリスクがあります。

骨はリンとカルシウムが結合したものであり、体内のリンが過剰になるとPTHというホルモンが分泌されることで骨から血中へのカルシウム溶出を増やしてしまう。
腎臓とミネラル代謝ホルモン
コンビニエンスストア弁当に含まれるリンの計算値と実測値の比較

 

2.カルシウム過剰摂取による体内マグネシウム不足を招く

様々なミネラルが豊富な天然塩から、マグネシウムをはじめとする他のミネラルが除かれてしまった塩化ナトリウム(食塩)の使用や、土壌内のマグネシウム含有量低下による農作物のマグネシウム不足など、現代の食生活においてはマグネシウム不足になりがちです。

そこに拍車をかけているのが、カルシウムのみが重要視されている牛乳や乳製品の過剰摂取、ともいえるでしょう。

カルシウムとマグネシウムは、それぞれがバランスを保ちながら働いています。

例えば血管内にカルシウムイオンを投与すると血管は収縮するのに対して、マグネシウムイオンを投与すると血管は拡張する、といった具合です。細胞レベルでは、カルシウム流入によって起こる種々反応を抑制する方向に、マグネシウムが働いています。

つまり、牛乳または乳製品を摂取しすぎることにより、相対的に体内のマグネシウム不足を招く恐れがある、ということなのです。
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マグネシウム不足により、神経発達症(発達障害)や学習能力の低下を招く

マグネシウムは、絶対に欠かすことができない、生命が代謝を行う上での必須ミネラルであり、これが欠乏すると、神経発達症(発達障害)の症状や、キレやすい、だるい、理解力の低下などといった症状が起こってきます。

それ以外にも、ぜんそく・腸疾患・糖尿病・不眠症・虫歯・がんなど、多くの疾患がマグネシウム不足と関係しています。

マグネシウムはエネルギーATPの授受に不可欠なミネラルであるため、不足すると全てのエネルギーを使う反応が停止する。300種もの酵素反応に関わっているといわれている。
また、骨形成に関与する酵素(アルカリフォスファターゼ)の補因子としても働く、骨が成長する過程においてマグネシウムがカルシウムを呼び寄せるような働きをするなど、様々な形で重要な役割を持っている。
マグネシウム欠乏におけるカルシウム過剰の栄養生理学的・病理組織学的検索

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3.乳糖不耐症による腸の不調を招く

牛乳に含まれる乳糖は、ラクターゼという分解酵素によって分解されます。しかしながら、このラクターゼは、私たち日本人のほとんどは、離乳期以降は分泌されなくなります。

その結果、高濃度になった乳糖が小腸に水分を引き寄せ、水様性下痢を起こします。その後乳糖は小腸を通過して大腸に入り、細菌によって発酵されてガスが生じ、ガスによって鼓腸、腹部膨満、腹部けいれん痛が起こります。

引用元:MSDマニュアル家庭版 乳糖不耐症

ちなみに、乳糖が下痢を起こすからよくない、といった短絡的なことではなく、下痢が繰り返し引き起こされることにより腸内細菌叢のバランスが崩れ、それによってもたらされる弊害が見過ごせないものであることのほうがより深刻です。
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4.牛乳に含まれるカゼインが不耐を起こす

牛乳に含まれるタンパク質カゼインを私たち人間はほとんど消化できず、そのため摂取すると小腸の粘膜細胞は炎症を起こし、損傷したり、細胞同士の結びつきが緩んでしまうことで、本来体内に入るべきでない物質が血液中に入り込んでしまうと言われています。

これを「リーキーガット症候群」と呼びます。
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リーキーガット症候群が様々な心疾患を招く

腸壁から体内に体に有害物質が入ってしまうことで、頭痛・肩こり・生理痛などをはじめとする痛みや、アトピー、皮膚疾患などといった炎症に関わる様々な症状を引き起こすと考えられています。
また、ウツや強迫性障害などといった心疾患とも関係があると言われています。

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5.中毒症状を起こす

カゼインを分解していく過程で未消化のタンパク質、カゾモルフィンが生成され、モルヒネなどの麻薬物質と似た作用が引き起こされることもわかっています。

カゾモルフィンは血液脳関門を通過し、脳内の神経細胞(シナプス)にあるオピオイド受容体に結合、その結果、精神症状や神経障害を誘発する可能性があるともいわれています。

冒頭の男の子の例のように、牛乳を大量に飲んだり、クリーム系の乳製品やアイスなどがやめられない、といった場合、中毒症状を引き起こしているのかもしれません。
これは、小麦製品(特にパンや麺類など)にもいえます(小麦に含まれるグルテンというタンパク質が同じように中毒症状を引き起こす)。

子どもの発達デザイン研究所の見解

動物性食品の摂取を控え、植物性食品の摂取を勧めることに対して、インターネットで検索すると、ばかげているといったネガティブな意見を目にすることもありますが、体内におけるミネラルのバランスの取り方や、細胞内に存在するミトコンドリアとマグネシウムとの関係性、脂質の質と細胞膜の働きなどといった、生化学から真摯に考えようとした時、安易に発言できるはずはないのではないかと感じます。

たったここ十数年の間にも、科学は信じられないスピードで、日々目覚ましく進化し、これまで、強く意識していなかった「食べる・食べない」といった行為が、細胞内外において、恐ろしいほどの数の化学変化を起こし、また遺伝子の発現にも関わっている、非常に重要な行為であることがわかってきたのです。

本来、社会全体が変われば良いのですが、これほどまでに牛乳や乳製品が市場にあふれている現状を変えるには、まだまだ時間と労力がかかるといった背景も考えられます。完全に廃止するには経済的損失が大きすぎ、かといって代替製品を開発し、市場に流通させていくには、膨大な経費や労力がかかるからです。

だからこそ、飲食をするということが細胞の働きにどのような影響を与え、そのアウトプットである心身の状態がどうなるのかをしっかり個々人で考えることが非常に大切なのです。

ちなみに、急速に米と野菜を中心とした伝統的な食事から、小麦・牛乳・卵・肉を中心とした洋食に変化したその原動力が何だったのか、について書かれた著書の解説とグラフが掲載されているWEBページがありましたので、参考までに掲載させていただきます。
現在のアレルギー性疾患増加は戦後の「栄養改善運動」と学校給食、そしてアメリカの小麦戦略によって作られた

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上記のような見解や文献もあること、牛乳や乳製品の摂取を控えた結果、体調がよくなった・理解力が増した・発達障害の症状が軽減したなど有益なお声を多くいただいていることから、牛乳はやめて、豆乳やライスミルクなどといった代替ミルクを摂取することを子どもの発達デザイン研究所としては推奨しています。
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