子どもの国語力をつける本当の方法 小学校(小学生)
小学生時代にできる「子どもの国語力をつける方法」について、ドリルや漢字練習などといったいわゆる勉強ではなく、本質的に必須である大切なことをお伝えします。
小学生以下の子どもの国語力を培う方法は勉強ではない
自分の本当の感情に気づくことがまず最初の一歩
国語力は思考力がなければ育たない
国語力は思考力です。
自分の抱く感情の理由や考えの根拠を把握できる力。
先々に何が起こるのか・相手の気持ちといったことを想像する力。
情報を整理し、自分の中で再構築して伝えられる力。
このような、社会で生きていくために求められる本当に大切な思考力というのは、単に学校で良い成績を取ったり、志望校に合格するために偏差値を上げるための勉強だけでは身につきません。
本物の思考力とは何か
本物の思考力を持っている人は、自己の視点や感情のみに溺れず、冷静かつ公平な判断をすることができます。
相手の気持ちを想像でき、かつ物事を俯瞰(ふかん)して見ることができるので、様々な角度から客観的に捉えることができるのです。
また、それを相手にわかりやすく伝えることもできます。
話し始める前の段階ですでに頭の中で話したいことの設計図ができている上に、相手の理解度に合わせながら表現を変えることができるためです。
逆にいえば、いくら成績や偏差値が良くても、相手の気持ちを理解する力や自分のことを伝える力が弱いと、トラブルが起きがちです。
結果として、精神を病んでしまったり、仕事がうまく続かない・パートナーと良い関係を築けないなどといったことが起こります。
有名なハイレベルの学校を出ていても、他者の気持ちに対する想像力が欠けていたり、自分の感情やふるまいに鈍感な人、というのは大人でもたくさんいることを考えれば、納得がいくのではないでしょうか。
つまり、本物の思考力とは、自分のことを知る力・相手の気持ちを理解する力・言葉で伝える力だと言い換えられると私は考えています。
本物の思考力を身につけるために必須なこと
そうした本物の思考力を身につけるために、子どもの頃からできること、それは
「考え続けること」
です。
当たり前のようでもありますが、多くの子どもたちを教えてきて感じるのは、深く考えるくせがついている子が非常に少ないということです。
何が好きなのか・嫌いなのか それはなぜなのか
そもそもこうした自分の感情についてすら深掘りしていない子がほとんどです。
「夜ご飯には何が食べたい?」
と聞いて、夜ご飯はお母さんが作ったものを食べるのが当たり前になっているので、何かを食べたいと考えたことがなかった、という子も少なからずいました。
「誕生日にプレゼントとして欲しいものは何か?」
という質問には、大抵の子がゲームと答えますが、それがなぜなのかという理由については答えられないことが多いのです。
お友だちが持っているから
楽しいから
実はこれでは理由になりません。
大切なのは「だから何なのか?」「なぜそう感じるのか?」なのです。
抽象的な感情を具体的に言葉で表現する練習をする
まずは、
・楽しい/つまらない
・おいしい/まずい
・うれしい/悲しい
といった感情を、自分がどのような時に抱くのかを明確にしていくことは大変良いトレーニングになります。
さらに、それはなぜそう感じるのか?と考え、どのように?という具体的な表現をするようにしていきます。
楽しいことであれば、
ㅤㅤㅤㅤ▼
あのお友だちは、いつも笑顔で優しくしてくれる上に自分と趣味が同じなので、長い時間一緒にいても緊張せず話が尽きなくて楽しい。
1つ考えると、その逆の感情も明らかになってきます。
ㅤㅤㅤㅤ▼
あのお友だちは、話しかけてもあまり返事をしてくれない上に、共通の話題がほとんどないので、一緒にいても一人でいるのとあまり変わらずつまらない。
といった具合です。
他、うれしいことであれば、
ㅤㅤㅤㅤ▼
お友だちが、私の誕生日に私の好きなキャラクターのキーホルダーをくれた。私のことを喜ばそうと考えてくれたのだと思うとうれしい。
ㅤㅤㅤㅤ▼
お友だちの誕生日にプレゼントをあげたのに、その人から自分の誕生日にはプレゼントをもらえなかった。自分と同じ気持ちを持ってもらえなかったのだと思うと悲しい。
おいしいものであれば、
ㅤㅤㅤㅤ▼
このおにぎりは、噛むとほどよい塩味のついたご飯が1粒1粒口の中でほろほろと崩れていき、お米の存在感を感じる。さらに巻かれている海苔がぱりっとしていて、一口ごとに香ばしい匂いが口の中に広がるので、おいしい。
ㅤㅤㅤㅤ▼
このおにぎりは、ご飯がべちゃっとしている上にぎゅうぎゅうに握ってあるので、お米1粒1粒の存在感を感じることができない。さらに海苔の香りが全くせず、おいしくない。
などです。
ㅤㅤ
思考するという作業は、実は自分自身へのカウンセリングでもあり、生きていく指標を見失わないための道しるべにもなっていくのです。
上記はほんの一例ですが、日々、様々な感情がくるくると入れ替わっているはずで、こうした感情は自分で気づこうという意志を持って取り出してあげていかないと、人によっては知らないうちにふたがされてしまうことも少なくありません。
あるいは、脳の特性によって元からそうした感情を見つけにくい子もいます。
4~5歳から始めてももちろん構いません。
今日はどうだった?
君はどう感じた?
といった普段の日常会話から親が上手に会話で導いてあげることで、子どもは伸びていきます。
一日20分程度で良いのです。毎日続けていくことが大きな礎となっていきます。
大切なことは、先に答えを用意せず子どもと一緒に考えてあげること、その場しのぎで適当なことを言わないことです。
場合によっては親自身も自分の感情を見つめ直す良い機会になると思います。