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生化学の観点から

受験合格までのスケジュール2:乳幼児期編①~発達障害の症状を予防するには~

この記事は、学力を伸ばしていく土台となる乳幼児期の脳の発達に欠かせないことのうち、発達障害の症状を予防するために大切なことをお伝えするものです。

乳幼児期の脳の発達に必要なこと

発達障害の症状を予防するために

”発達障害の症状” とあえて書く理由

発達障害(神経発達症)とよばれる症状には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、学習障害などがあります。
15年ほど前に比べると、名称や定義も少しずつ変わってきており、ずいぶんと広く認知されるようになってきたと実感しています。

さて ”症状としてはこういう感じ” というのがかなり明確に示されていると思いますが、その原因は様々です。
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生まれつきのものとされることが多いですが、遺伝子そのものに問題があるのか、エピジェネティック修飾によるもの(※)なのか、母親が妊娠中に摂取すべきオメガ3脂肪酸が足りないことによるものなのか、出産時および生まれた後の環境からもらい受ける細菌によって形成される腸内細菌叢が原因なのか、などといった違いがそもそもあります。

また、生まれてからの食生活や生育環境によって、そうした症状が出てしまっていることもあります。

私がこれまで対応してきたケースにおいては、食生活および親の関わり方などを変えることで症状が良くなる場合もあるため、障害ではなく、症状とお伝えしています。

全てをこれからお伝えすることで予防できるとは断言できかねますが、やることのメリットがはるかに大きいと思いますので、ぜひ実践していただきたいと思います。

※エピジェネティック修飾については、こちらの記事をご参照ください。

受験合格までのスケジュール1:頭の良い子を育てるには妊娠前からオメガ3摂取を

1.清潔すぎる環境が与えるリスクを知っておく

腸内細菌叢の多様性が失われると様々な弊害を生む

人間は生まれる際、母親の産道を通る時に母親からもらい受けることに加え、誕生直後から接する産院・看護師さんなどを含む環境、日々触れる人々や物、そして土いじりをしたり、土のついた生の野菜などを “完璧に洗いすぎない状態” で食べたりすることで様々な細菌を体に取り入れていきます。

そもそもが、そうしたことを前提とした

細菌の多様性を維持することで細菌とうまく共存しながら人間が生きていくシステム

が細胞の進化の歴史とともに構築されているのです。

そのため、特定の細菌のみ多かったり少なかったりすること=最近の多様性が失われている状態が、様々な弊害を生むことがわかってきています。

たとえば、重度のアレルギー症状を持つ、感情が乏しい、理解力が乏しい、社会性に欠ける、肥満などです。
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腸内細菌叢とASD症状との関連

清潔すぎる環境下で育てられたり、土に触れる機会が少なかったり、あるいは乳幼児期に抗生物質を多用せざるを得ない状況だったり・・・

こうした要因によって、腸内細菌の多様性が失われた結果、心身いずれかに何らかの症状が出てしまうことが多く、特にASDの症状との関連が示唆されています。

実際、これまで多くの方にアドバイスや指導をしてきましたが、ASDの症状が出ているお子さんは、腸に不調を抱えていたり、あるいは清潔な環境下で育てられたりといったことがよく見られるのも事実です。
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腸内細菌叢は、3歳頃までにほぼ決定される

赤ちゃんは生まれる際に、母親や環境から細菌をもらい受けますが、一方で、同じ母親から生まれた双子であっても、腸内細菌叢はそれぞれ異なっていることがわかっています。

このことは、生後、腸内細菌叢が形成されるプロセスで受けた環境要因が大きく影響しているためであると考えられ、中でも抗生物質の投与は著しい悪影響を与えることがわかっています。

先述の腸内細菌叢は、3歳頃までにほぼ決定してしまい、そこから根本的なバランスを変えていくことは難しいと言われています。

このことからも、乳幼児期の子どもの腸内細菌叢をバランスよく整えることは非常に大切で、そのためには過剰に清潔さにこだわらない・生育過程において適度に土に触れさせる・抗生物質を多用しないなどといったことへの配慮が必要です。
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脳の発達や行動への影響
 通常の腸内細菌叢を持つマウスと、腸内細菌を全く持たない無菌マウスを用意し、それぞれの成長を観察したところ、腸内細菌を持たないマウスは成長とともに攻撃的な行動を示すようになったのに対し、成長初期に腸内細菌を導入したマウスは、普通のマウスと同じような行動を示し、成熟後に腸内細菌を導入したマウスは、腸内細菌を導入しなかったマウスと同じような行動を示した、という結果が出ています。
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また別の実験で、酪酸(短鎖脂肪酸)を投与されたマウスでは、脳内の海馬や前頭葉でのBDNF(脳由来神経栄養因子= 脳の神経細胞の維持や成長などを促す物質)が増加しているのが分かりました。
これらの研究内容は、腸内細菌が(酪酸などを介して)初期の脳の発達に影響することを示唆しており、生後獲得する腸内細菌の重要性を示しています。

2.オメガ3系脂肪酸の積極的摂取が必須

様々な実験結果から、生まれてからの子どもが、特定の脂肪酸を適切な割合で十分摂取することと、発達障害の予防・改善には深い関係があることがわかってきています。

一例として、ノルウェーにあるオスロ大学での研究により、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状を示すラットを使った実験で、n-3系の脂肪酸摂取量を増やした結果、脳での神経伝達がスムーズになり、ADHDの症状が改善されたというデータが得られています。

オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)とは、

・DHAやEPA
・αリノレン酸などです。

DHA・EPAは魚に多く含まれることで有名ですが、近年は、海洋汚染が深刻化し、魚を食べることのメリットよりもデメリットの方が懸念される時代になってしまいました。

そもそもはDHAを多く含む藻類を小さな魚が食べ、その小さな魚をエサにした魚をさらに大きい魚が食べる・・・といった食物連鎖によって大きい魚にDHAが蓄積していった結果、魚にはDHAが多いのです。
そのため、海洋汚染が少ない海の小魚をふりかけにして食べたり、クリルオイルから生成されたサプリメントを摂取することをおすすめします。
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また、αリノレン酸は、えごま油やアマニ油に多く含まれます。
フレッシュなまま、ティースプーンでなめさせたり、サラダはもちろん、おにぎりなどにもさっとかけたりして摂取させると良いです。
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これらオメガ3脂肪酸は、炎症を抑制する効果があるため、子どものアレルギーを予防するのにも効果があります。
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尚、妊娠前~妊娠中編の記事にも記載していますが、オメガ6脂肪酸の過多は、子どもの様々な不調を引き起こします。
調理に使う油や市販品に含まれている油は、ほとんどがオメガ6脂肪酸です。
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市販品の購入はできるだけ避け、家庭でも揚げ物や炒め物は極力控えるとともに、加熱調理の際にはオリーブオイルをさっと使用するなど、油の扱い方を知っておくことが重要です。
(オリーブオイルはオメガ9脂肪酸で、オメガ3脂肪酸よりは酸化に強いため加熱調理向きなのです。)
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いずれにせよ高温調理は油に毒性を持たせてしまう危険性があるため、注意が必要です。
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また、油の酸化を防ぐため、油の使い回しをしない・小さい遮光瓶に入っているものを使う・蓋をしっかり閉めて冷暗所に置くなど、取り扱い方も大切です。

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3.乳製品・小麦製品に要注意

日本人は特に、乳製品に含まれる乳糖やタンパク質(カゼイン)を分解しづらいといわれています。
摂取し続けることで腸の炎症を引き起こし、そこから血液に流出したカゼインは、血液脳関門を通過することでモルヒネなどの麻薬物質と似た作用をもたらすことがわかっています(カソモルフィン)。

また、小麦に含まれるグルテンも同じく腸の炎症を引き起こし、やはり血液脳関門を通過しモルヒネなどの麻薬物質と似た作用をもたらすことがわかっています(グルテオモルフィン)。
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中毒性があるため、もっともっとと欲しがるようになる結果、腸へ炎症を起こす→下記リーキーガット症候群を招く→発達障害の症状を引き起こす場合があります。
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尚、小麦や乳製品を食べたからといって、全員に発達障害の症状が出るというわけではありません。人によってどこに症状が出るかは異なります。
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小麦や乳製品の上記タンパク質によって起こる不調は、遅延型アレルギーともいわれており、症状が出るまでに数日~2週間程かかることもあるため関連に気づけないことも多いのが実情です。
全く無関係だと思っていたアレルギーや皮膚病、痛みやだるさ、疲れやすさといった症状と関連があることもあります。
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この遅延型アレルギーがあるかどうかは、毛髪検査を受けていただければわかります。
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▶毛髪検査はこちら

粉ミルクを利用する場合は、乳製品から作られたものではないものが安心です。

離乳食以降、乳製品の代わりとしては、豆乳のほかライスミルクやアーモンドミルク、ココナツミルクミルク・オーツ麦ミルクなどがおすすめです。
豆乳を使ったヨーグルトやチーズなどもあります。

また、パンやうどん・麺類など小麦を使った食品や、クッキー・ビスケットなどといった菓子類などもなるべく避け、特に日本人は代々慣れ親しんでいるお米から出来ているものを摂取するようにしましょう。


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4.糖類を与えすぎない

糖類は腸内カンジダ菌のエサになり深刻な不調を招く

糖はエネルギー源となる大切な物質ですが、糖類は腸内のカンジダ菌が増殖するための栄養源になります。
特に砂糖やブドウ糖などの、単純糖質を好んで増殖します。

カンジダ菌は、真菌(カビ)の仲間です。

抗生物質などの投与や、偏った食生活などにより腸内細菌叢のバランスが崩れ、カンジダ菌が異常増殖すると、菌糸を伸ばしてカンジダ菌が腸管全体に広がり、酵素を分泌することで腸管壁を傷つけ、未消化タンパク質や菌・ウイルスなどが腸管壁から血液中に漏れてしまう「LGS=リーキーガット症候群」と呼ばれる状態を引き起こすことが分かっています。

リーキーガット症候群が発達障害症状と関係している可能性もある

リーキーガット症候群により、アレルギーや痛み・疲労など心身に様々な不調を引き起こされますが、特に子どもの学習能力に関係するのは、

・ASD、ADHDなどの発達障害症状
・不安障害、強迫性障害、統合失調症、うつ病などといった精神疾患症状

でしょう。

さらにカンジダ菌から産生される「アセトアルデヒド」という物質も、慢性の頭痛や慢性疲労症状、抑うつ症状、パニック障害などの様々な症状を起こします。

つまり、カンジダ菌が増殖しすぎないよう、カンジダ菌のエサになるものを過剰摂取しないことが大切なのです。
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見落としがちな糖類も含めて要注意

砂糖や砂糖が含まれている菓子類などをあまりとらなくても、精製された白米や小麦製品(麺類・パン類・ピザ・餃子の皮など)、ファストフード、出来合いの総菜、加工肉、ドレッシングやソース類などに含まれる糖類のせいで、カンジダ菌の異常増殖を招いている可能性もあります。

「もっともっと食べたい」と感じるものの1つに、「人為的に甘さを強調されたもの」が挙げられます。

上記菓子類や白米、小麦製品だけでなく、品種改良を加えられ甘さが強調された果物や野菜などもそうです。
こうしたものがあまりにもありふれているために、気付かないうちに過剰摂取になってしまっていることが問題なのです。

こどものおやつはお菓子を与えることではない

子どものおやつ=お菓子というように脳内で変換されている方を、多数見てきました。
甘いお菓子をあげないとなんだか子どもがかわいそうで、というお声を本当に良く耳にします。

しかしながら、本当にかわいそうなのは、食べるものがいかに子どもの人生を左右するかを知らない大人によって、子どもの本来の能力の芽を摘んでしまうことではないでしょうか。

幼児期のおやつは、食事では足りない栄養を補う機会でもあります。

小魚やナッツ類、玄米のおにぎりやバナナなど、そして特におすすめなのが栄養豊富な種子類(ひまわりやカボチャの種など)や麻の実=ヘンプシードです。

どうしても甘いものというならば、メープルシロップや甜菜糖・ココナッツシュガー、あるいはデーツなどを少量摂取するようにしましょう。
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5.イーストにも注意

パン酵母などの酵母(イースト)のエサになるイーストフードにも実は注意が必要です。

酵母はカンジダ菌と同じ真菌の仲間であることから、イーストフードがカンジダ菌の異常増殖を促進する恐れがあるためです。

したがって特に糖類も多くイーストフードが含まれる市販のパン類などは、要注意であり、イーストを使っていない・米粉などからできているパンなどがおすすめです。
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上記はほとんどが下記マイナス1歳からのヘルスプロジェクトからの抜粋です。
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