ラ・サール中入試 国語問題の傾向と対策
ラ・サール中の国語 入試対策についての記事です。(ハイレベルの中学受験を目指す方に、問題の傾向と対策をお伝えするシリーズです。志望校である場合はもちろんのこと、志望校と似た他の学校の過去問を探し、解いていくことでも力がつきますので、ぜひ参考にして下さい。)
ラ・サール中学校(ラ・サール学園高等学校・中学校 鹿児島県)
国語出題の特徴:他校との比較
論説文、物語文から構成され、いずれも選択肢問題、漢字・四字熟語や慣用句といった知識問題、抜き出し問題、指定文字数で筆者の主張をまとめる問題などがまんべんなく出されています。
特に他校に比べ、指定文字数で書く問題の割合が多めで、難易度が非常に高いのが特徴です。
出題の特徴:論説文
論説文では、幅広い語彙力に基づく言葉の置き換え力が求められる
たとえば、下記のような問題が出題されます;
破線部「冒険にはまぎれもなく批評的性格がある。それもかなり挑発的な批評性だ」とあるが、冒険のどういう点が「挑発的」なのですか。
百二十字以内で説明しなさい。
国語の長文読解の中で、筆者の主張を指定文字数で回答するには通常、
「つまり」「ようするに」「重要なのは」「〇〇とは」
といったキーワードとなる言葉を探せば、その後に筆者の主張がまとまって出てくるので、ここから取り出し、必要に応じてほんの一部を調整すれば正解となるのですが、ラサール中の問題はそう一筋縄ではいきません。
指定文字数に合わせて自らまとめ直す必要があるのですが、それ以上でも以下でもない適切な表現を無駄なく探し当てはめる能力が必須で、これは
がないと話になりません。
上記問題に対して用意された模範解答の一例は、
ですが、この根拠となる本文中の部分は、
冒険とは批評的性格をかねそなえた脱システムという身体的表現である。
そして冒険という批評行動はリアルな経験そのものなので、ロジックや修辞に頼らざるをえない言論による批評よりも強いインパクトをあたえることもできる。
同時に、冒険に批評的性格があるということは、冒険が社会性の非常に強い行為だということでもある。
今述べたように、冒険とはシステムの外に飛び出すことで、システムの内部を外から客観的に見つめて、その限界を明らかにする批評的性格を持った身体表現である。
一言でいえば、ほかの人間に対して自分だけが飛び出す、自分だけが先に行くという行為だ。
自分だけ外に飛び出すことによって、冒険者は「私は飛び出したけど、その飛び出した私について、あなたはどう思う? そして飛び出さない自分たちについて何を思う?」 と、 飛び出さない者たちに対して挑発的な問いかけを発しているのだ。
(角幡唯介『新・冒険論』より)
であり、まず
「冒険とは身体的表現であり、かつ批評行動はリアルな経験そのものだ」
という定義を見つける必要があります。
そして
”自分だけ外に飛び出すことによって、冒険者は「私は飛び出したけど、その飛び出した私について、あなたはどう思う? そして飛び出さない自分たちについて何を思う?」 と、 飛び出さない者たちに対して挑発的な問いかけを発しているのだ。”
の、挑発的な問いかけ部分(↽ここが問題で聞かれている部分)を、
”他人より先にシステムの外に出た経験を示すことで、人々がシステムの外に出た冒険者や、システムの内部にい続ける自身をどう思うか”
と、
のです。
出題の特徴:物語文
物語文では、言葉に込められた二重の意味をくみ取る力が求められる
たとえば、2021年度の問題では、雑草の背丈の「高さ」と、人間の偏差値の「高さ」をかけた内容の文章が出題され、2018年では、サヴァランといった「お酒を含むケーキの甘さとほろ苦さ」と、筆者の「自分の未熟さと新たな観点を得た喜びを同時に知った、少女が大人の体験をした心情」をかけた問題が出題されているように、
といった力が問われる問題が出題されています。
わかりやすく例えるなら、あの掛詞(※)で有名な百人一首の
「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」
(小式部内侍)
に込められた2つの意味を瞬時に感じ取れる感性があなたにはありますか?ということです。
ラ・サール中の国語対策
選択肢問題の解き方のコツは、基本的には他校と同じと考えて良いので、別記事にて詳しくお伝えします。
ここでは、上記2つの特徴についての対策案をお伝えします。
①つまり・たとえばの置き換えトレーニングを徹底的に行う
具体と抽象を意識した表現の訓練をして下さい。
(これから目指す方は小学3年生頃から始めているとベスト。子ども研国語塾の基礎コースでも力を入れています。)
抽象表現を抽象表現にしか変換できなかったり、具体表現を別の具体表現にしてしまったりするケースが多々見られます。
簡単な文章では出来ても、難解な文章になると混乱してしまうのです。
があり、これに対しては筋トレのように数をこなしていくのが一番だと思います。
自力でこなせるだけの学力がある場合は、目指している学校と同等以上の様々な学校の過去問を用意し、一時期(2か月など期間を決める)指定文字数問題だけを徹底的に解き、解答解説書と照らし合わせていくことで、力がついてくるはずです。
(あちこちやらずに、それだけに絞ることがポイントです)
②マーキング力を身につけ、駆使する
これはどの学校の国語長文読解においても言えることですが、
します。特に、
ので、マーキングにより全体の構造および筆者の主張が浮き彫りになるため、必須のテクニックです。
(マーキング方法については、子ども研国語塾の受験対策コースⅠ・Ⅱ(zoom)、個別特進コースいずれでも指導しています。)
③恋愛、友情、親子といった関係から生まれる複雑な心情を学ぶ
これが中学入試のための問題として小学生に出される問題なのか、と目を疑うような、大人顔負けの心情理解を求められる文章が用意されています。
とはいえ、子どもであっても心の動きそのものは大人と同じであり、大切なことはそうした心の動きに対して、自分でどこまで掘り下げる興味を抱けるか、という点につきます。
ような気がします。
たとえば、小学5.6年生にもなれば、好きな人がひそかに出来たりすることもあるでしょう。
恋する気持ちについて、詩集やら小説やら文芸書やら哲学書やらをとにかく読み漁る。
そうした時間がたっぷりあるのも、小学生時代の良いところだと思います。
恋をしたことがないならば、恋をするとはどういうことなのか、なぜ人は恋をするのか、といったことでもかまいません。
もちろん恋だけではなく、友情とはなにか、孤独とはなにか、人を愛するとはどういうことか・・・
人の心の動きに疑問を持ち、深掘りしていくことが、感性と語彙力、多角的なものの見方を身に着ける近道です。
逆にいえば、こうした経験を積んでいることで、たとえ小学6年生であっても気づき、答えを出せるような問題でもあるのです。
④過去10年間の問題を解き、指定文字数問題の答え方を身につける
特にラ・サール中の指定文字数問題は難易度が非常に高いので、過去5年ではなく、10年分を解くことをお勧めします。
先述の①~③といった対策を講じながら解いていくようにして下さい。
尚、子ども研の国語塾特進コースでは、1問1問、なぜその回答では足りなかったのか、何を根拠に、どのように回答すべきだったかについて解説しています。
こうした個別コーチングは、無駄なくスキルアップしていくことができるので(スポーツや音楽などをイメージすると分かりやすいかもしれません)非常に賢明な選択肢の1つだと思います。
来年度の募集は先着順ですので、是非お気軽にご相談下さい。
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