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不登校・神経発達症

妊娠中の生活と発達障害の関係

遺伝子発現のON/OFFを決めるエピジェネティクス

エピジェネティクスをご存知ですか?

発達障害は、これまでの研究では遺伝的にほぼ決定された障害であり、養育要因の関与はほとんどないと考えれてきましたが、最近の研究では、遺伝子の働きが環境要因によって左右される可能性が示されるようになってきました。

ips細胞の研究と非常に関連が深いもので、これを理解するには化学的なDNA転写のしくみを理解していないと難しく、ここではとても語りきれないのですが、簡単にいってしまえば、DNA=遺伝情報そのものは人体のどの細胞にもどの年齢でも同じように存在しているが、そのDNAの情報をオンにするかオフにするかを決めている物質がある、ということです。

DNAもこのDNAの情報をオン・オフする物質も、タンパク質でできています。
このタンパク質が細胞内において、C(炭素)、N(窒素)、O(酸素)、H(水素)、P(リン)などといった原子単位・分子単位でどのように分解合成され、遺伝情報をコピーし、それが人の心や体、言動に変化を与えるかを研究している学問がエピジェネティクスです。

いかに人体が摂取するたんぱく質を十分な量、分解合成することが大切なのか、こうしたことからもよくわかります。
以前考えられていた下記要因も、結局のところそうした環境要因によってこのエピジェネティクスのしくみが変化するからということだといえると思います。

尚、出産前に親が受けたストレスによって、こうしたエピジェネティクス的修飾を受けた場合、その遺伝子が子に遺伝する可能性もわかってきています

逆に、そうであっても出産後、愛情深く育てることによりこうした遺伝子の修飾を受けにくくなっていることもまたわかってきています。

参考文献
親の受けたストレスは、DNA配列の変化を伴わずに子供に遺伝(理化学研究所)

母親の深い愛情を受けて育った子供はエピジェネティクスによってストレスに強くなる(Nature)

思春期のストレスは神経エピジェネティクス機構の障害を引き起こし、成体の行動パターン・神経系を障害する (名古屋大学)

子どもの能力を左右する重要なファクター

妊娠前からの食事や暮らし方が大きく左右する

妊娠前からの食事や暮らし方が非常に大きく産後の子供の能力を左右することもわかってきています。

特に、生体膜(細胞膜および細胞内小器官に用いられている膜全てを指す)の質を決定づける「脂質」は非常に重要で、妊娠中に摂取した脂質の内容によっては深刻な脳発達障害を引き起こすというマウスの実験データもあります。
(基礎講座内に組み込んである脂質改善ジュニアインストラクター養成講座でお渡しするテキストに掲載しています。)

・妊娠中に口にした、小麦製品に含まれるグルテン、乳製品に含まれるカゼインの影響
発達障害と小麦・乳製品の関係
・その他の食品添加物
・偏った食事から来る低ミネラル・低ビタミン状態
(コンビニ弁当・ファストフードなどは要注意 トランス脂肪酸の問題は言うまでもありません)
・電磁波、住環境、ストレス
・化学薬品

など、様々な影響が示唆されています。
胎盤を経由して胎児に本来行くはずの栄養が行き届かず、逆に行ってほしくない毒素が通過してしまうといったことが避けられない時代背景になってしまっていることが、発達障害児が非常に増えていることの大きい一因であることは誰しも疑いのないことではないでしょうか。

ちなみに毒素が胎盤を通過するということについては、すでに1985年、妊産婦における水銀の経胎盤移行に関する研究として論文が出ています。
妊産婦における水銀の経胎盤移行に関する研究

簡単に言い換えれば、

胎児がへその緒を通して摂取するものに毒を入れない
胎児が受ける外部からの電磁波(言葉や場の雰囲気なども含む)に気を付ける

ということが大切だといえるでしょう。

腸内細菌が肉体も精神も操っている?

マウスを使った実験では、腸内が無菌状態のマウスと、一式細菌を腸内に抱えているマウス両方に同じストレスを与えた場合、無菌状態のマウスの方が2倍ストレスホルモンを出す=ストレスに過剰に反応してしまう
という結果が得らています。

さらに、この無菌マウスに、ビフィドバクテリウム・インファンティスというたった1種類の菌を入植させるだけで通常のマウスと同レベルにまでストレス耐性が落ち着いたということでした。

要するにたった1種類の菌でさえ、人間の心と体を左右する可能性がわかってきたということです。

胎内にいる時の胎児の腸内は無菌状態なので、生後どのように腸内細菌バランスを作り上げていくか、がとても大切だといういことがわかります。

(九州大学大学院医学研究院心身医学 須藤 信行教授らによる2004年の研究より)

 

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