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不登校・神経発達症

不登校の子どもの心と体で起こっていること・対処法

この記事は、不登校の子どもたちの心と体にどんなことが起こっているか、周囲はどんなことに気を付けたら良いのか、といったことのヒントやアドバイスをお伝えする内容です。

思春期とうつとの深い関係

小5~中2くらいから不登校になりやすいのはなぜ?

多くの不登校のご相談対応経験、および自分の子ども2人ともそうだったことから、だいたい小学5年生くらいから中学2年生の頃にかけてのどこかのタイミングで、学校に行けなくなってしまう子が多いように実感しています。
それはなぜでしょうか?

理由は、一言で言ってしまえば、
ホルモンバランスの急激な変化
なわけですが、それってわかるような・わからないような・・・そんなところもありますよね。
今回は、具体的にどのようなことが起こっているのか、心と体に分けて記載したいと思います。

ホルモンバランスが急激に変化するとどうなる?

既にご存知のことと思いますが、女の子は女性ホルモン、男の子は男性ホルモンが思春期になると活発に作られます。
女性ホルモンとはエストロジェンとプロゲステロンの2種類、
男性ホルモンとは、テストステロン、アンドロステンジオン、DHEAなどの数種類。

イメージとしては、女性らしい・男性らしい体つきになったり、子どもをつくり、産み育てるための機能がスイッチONになったりするホルモン、という感じだと思います。
そして実際そうなのですが、案外、これらホルモンが「え、こんなことにも関わっていたの?」ということは知られていないのではないでしょうか

女性であっても、男性ホルモンも体内で分泌され、同じく、男性であっても女性ホルモンが分泌されることで、それぞれ両方の影響を受けています。
そして何よりこれらホルモンは、たとえばストレスに対して戦うために分泌されるコルチゾール、成長に必要な成長ホルモン、代謝を司る甲状腺ホルモンといった、他のホルモンとも影響を与え合っています。
(これらホルモンも、あくまでもわかりやすく説明するために代表的な機能が一般的に説明されていますが、その機能は幅広く、複雑に絡み合っていて兼業したりしています。)
その上、自律神経とも関わっています。

要するに何かのバランスが「ほんのごくごく微量変わっただけ」であっても、代謝が変わり、血流が変わり、酸素や栄養素を運ぶ量が変わり、骨格が変わり、脳の働きが変わり・・・
心と体に大きい変化をもたらしてしまうこともあるのですね。
その結果、人が変わったようにおしゃべりになったり、攻撃的になったり、逆に意欲や体力が低下したり、マイナス思考になったり・・・
性格や能力といった、目に見える形の変化となって表れてくるわけです。

こうした変化は人それぞれですが、不登校になってしまう子たちの中でどんな変化が起こっているのかということの例を、まとめてみます。
(全てが当てはまるわけではありません。どれかが当てはまる場合もあれば、そうでない場合ももちろんあります。)

不登校の子どもの心(頭)の中で起こっていること

自分は生きている価値などない、という思いに支配される

能力や性格などに関わらず、自分なんて別にいなくてもこの世界は大きく変わりはしないだろう、そんな気持ちになってしまいます。
頭が良いとか、運動神経が良いとか、もともと前向きで明るかった・・・
そうした子にも起こります。
周囲からは、なぜあんなに色々と恵まれているはずの子が・・・と思うこともあります。

きっかけがあることもあれば、じわじわと体の中で起こる変化に対し、気づかないうちにいつの間にか締め付けられるように苦しくなってしまうこともあります。
周囲が励ましても、あまり響きません。
かといって、放置したり、何の励みもないと、さらに意欲を低下させてしまいます。

明日のことが考えられない

今、目の前のことで精いっぱいで、その日の夜のことさえ考えられなかったりすることもあります。
翌日のことや、ましてやその先のことなどは考えられません。
考えた方がいいことは理解できても、考えたいという気持ちが湧きおこらず、また考えようとしても、イメージが湧いてきません。
ボーっとしてしまう感じ、というと伝わりやすいかもしれません。

ごく限られたものだけにしか意欲がわかない

全てのものに対して意欲が全くわかないかというとそうでもなく、むしろ心のむなしさを埋めるために、ゲームや動画、マンガなどに熱中したりします。
その瞬間だけは他のことから切り離され、救われる気持ちになるためです。
昼夜逆転にもなったりするため、夜から朝にかけて一晩中、動画を見ていたり、ゲームをしていたり、工作していたり、といったことも多々あります。

心に浮かぶ前向きな感情を片っ端から否定してしまう

たとえばふと「この悩みを友だちや親に吐露してみようかな?」と思ったとしても、その直後に、「言ったところで何がどう変わるんだろう。」とむなしい気持ちに襲われたりします。
「気晴らしに出かけてみようかな。」と思っても、「疲れるだけだしやめておこう。」
「あれ食べたいな。」と思っても、「すぐ食べ終わってしまうし、一瞬だけの楽しみだから無駄かも・・・。」
など、自分の心に沸いたささやかな前向きの感情も、すぐにしぼんで消えてしまいます。

非常にささいなことで傷つき孤独感を募らせる

え?そんなことで?と周囲が思うようなことでも、深く傷ついたりします。
それは本人がすごく気にしていることを刺激されることだったり、逆にあまり希望がない日々の中でものすごく楽しみにしていたことがだめになったり、といった本人なりの理由はあるのですが、それを伝えられるくらいであれば元気な証拠なので、周囲には何が起こっているのか、伝わらないことがほとんどです。
特に信頼していた友人や家族から受けたものは、全世界から見放されたような気持ちになり、非常に孤独感を募らせ、余計に貝のように口を閉ざし、殻に閉じこもってしまうことも多々あります。

人の視線や言動がひどく突き刺さる・無関心になる

場合によっては一生のトラウマになってしまうほど、他者からの視線や言動に対して敏感な状態でいます。
その傷ついた状態を忘れることができず、何度も何度もグルグル思い出したりしてしまい、苦しんだりもします。
逆にロボットのように心を閉ざして、まるで何も感じていないのかと、周囲が苛立つほどに無関心になってしまったりすることもあります。

 

不登校の子どもの体の中で起こっていること

夜、がんばっても眠れない

本人の意思や努力とは全く無関係に、眠れません。
朝早くから起きるようにしたり、メラトニンなどのサプリメントを服用しても改善しないこともあります。
(メラトニンは、概日リズムを司っている大切なホルモンの1つです。朝、光を見ることで松果体にスイッチが入り、何時間後にメラトニンを出して眠くなる、というような指令が出ます。これが狂うと、体内リズムが狂い、結果としてあらゆる不調が出てきます。)

疲れやすい・だるい

目覚めた瞬間から疲れている・だるい、そんな状態になります。
そのためベッドや部屋でゴロゴロすることが多くなり、活動量が減ってさらに状況は悪化します。
目の前のものを、右から左に動かすのもしんどい、という気持ちになることもあります。

集中できない

頭がうまく働かず、何かを一生懸命考えるということができなくなります。
人の話す言葉や、読んでいる文字が、右から左へ流れて行ってしまい、頭の中に残りません。
何かをし始めても、途中ですぐ休みたくなったりします。

副腎が弱ってくる

ストレスと感じることが多くなるため、ストレスに対抗してくれるコルチゾールというホルモンを産出してくれる副腎がホルモンを出すために頑張りすぎた結果、弱ってきます。
これにより、さらに疲れやすい・集中できない・うつ状態・起立性障害といった症状を招き、悪循環に陥ることもあります。

体の代謝が滞っている・冷えている・筋肉が固まっている・骨格がズレている

活動量が減るので、物理的に筋肉が減り、筋肉の動きが減り、血流が減り、四肢の毛細血管などに血液が行き渡らなくなったりします。
その結果、体をうまく支えられなくなり、骨格がズレたり、内臓の位置がズレたりします。
さらにそうした姿勢が長く続くと、特定の部分の筋肉が凝ってしまい、余計に正しい姿勢を取りづらくなったりしてしまいます。
脳への血流も少なくなったり、自律神経が圧迫されることでうまく機能しなくなったりし、全身に渡って不調のスパイラルを引き起こします。

脳への血流が滞っている

人間の頭はとても重いので、インナーマッスルや首・肩の筋肉が鍛えられていないと、結構支えるのがしんどいものです。
その結果、姿勢が悪くなり、肩が凝って脳に血流が行かなくなり、ボーっとしてしまうこともあります。
また、下を向いての作業が多い(勉強・工作・スマホ操作など)ことによっても、後頭部に血流が行きにくくなります。

いずれにせよ、心が弱っている状態というのは、脳の活動も低下している状態であるので、ある部分だけ活発に働き、ある部分はあまり活動が活発でない、という状況が起こります。
結果として、うつ状態だったり、自閉傾向だったりといった症状に結びつくこともあります。

親や周囲ができること

性格・人格とは別問題だと親子で理解する

先述通り、体の中で起こった結果が現れているので、本人の性格の問題ではありません。
そもそも性格も、ちょっとしたホルモンバランスの変化によって変わりますから、性格って何?という話にもなってしまいますが、いずれにしても、
「やる気がないやつは出ていけ」
「ここまで頑張らないとご飯をあげないからね」
などといった叱り方や、
「お前はどうしようもないだらしのない人間だ。」
「普通はみんなできることなんだから、怠けるな。」
といった、罰を与える・人格を否定するといった注意の仕方は、非科学的であり意味をなさないばかりか、さらに状況を悪化させます。

原因は、性格や人格ではなく、ホルモンバランスなど本人の努力ではどうしようもないところで起こってしまっていることだ、ということをまずは親子で理解するようにしましょう。
お互い、これだけでもかなり救われると思います。

生化学に基づいた食事を意識する

食べることの一番の目的は、
体を正しく機能させること
にあります。

体は細胞の集まりでできているので、細胞がきちんと働けるための環境や材料が必要です。
同時に、人間は腸内細菌と共生しています。
食べるということは、人間にとって有益な腸内細菌にエサを与えることでもあります。

全てをお伝えすると膨大な量になってしまいますが、インターネットにあふれている様々な、アレがいい・コレがだめといった情報に踊らされず、
生化学
に立ち返って考えると、シンプルに見えてくるものがあると思います。

参考までに;

食事について
・小麦、乳製品、白米や砂糖などの精製食品を断つ
・トランス脂肪酸を摂らない
・亜麻仁油や、サプリメントでオメガ3クリルオイルを意識して多く摂取する
・生の野菜や薬味などを、できれば食事全体の半分を目標に摂取
・植物性のタンパク質を意識して多く摂取する
(肉を食べたい場合は脂身は除去・環境ホルモンなどを含まない飼料を食べさせているか等に気を使うこと)
・おやつは素煎りナッツや煮干しなどを

(詳細は、オンライン講座 マイナス1歳からのヘルスプロジェクト をご受講下さい)

脳への血流を促すことを意識する

時折ゆっくり深呼吸をすることで、脳への血流が増えます。

授業をしていても、集中力のない子は、あくびをよくしたり、息が荒かったりします。
呼吸が上手にできておらず、頭に酸素が行っていないようすが見て取れます。

ふくらはぎの筋肉を動かすことを意識すると、結果的に全身の血流も改善されていきます。
また、肩や背中を大きく動かすことも、脳への血流を改善します。
さあやるぞ、と意気込んでやるのは大変だと思いますが、細切れに、たとえば2~3時間ごとにスクワットを10回やる、などでも全然違ってくると思います。

塩化マグネシウムをたっぷりいれた入浴は、全身の血流が圧倒的に良くなるので大変おすすめです。
ぬるめのお湯に、500gくらい、どばどばと惜しまず入れて、15~20分くらい浸かります。週に2度やるだけでもかなり違います。
エプソムソルトとは異なりますのでご注意下さい。

”場の空気”が影響を及ぼしている可能性を考える

人間は、目に見えないものからも様々な影響を受けています。
学校の雰囲気・クラスメイトの意識・家庭内の状況なども、実は心と体に大きく関わっています。

思い切って転校や引っ越しをすることで、別人のように活き活きするようになった例もあります。
家の中の断捨離や、家具の配置変えをすることも有効です。
特に夫婦や親子の関係を見直すことも大切です。難しい場合は、動物を飼い始めたことで関係性が変わり良くなった、というケースもいくつもあります。

2年くらいのスパンで考える

ホルモンバランスの変化も2年くらい経過すると落ち着いてきます。
数カ月といった短いスパンではなく、ゆったり2年くらいのスパンで考えると、気持ちが焦らずに、結果として楽に・早く抜け出せたりします。
ただし、この間、食事や運動といった食生活改善は同時にやることが大切です。

戦わない

心と体が弱っている状態で、最もつらいのは、
「誰も味方がいない」
「居場所がない」
「責められる」
ことです。本人も自分のことで迷惑をかけていることは感じているので、そうした言葉や態度が、うつ状態にさらに追い打ちをかけ、結果として悪化させます。

一生そのままで良いわけはありませんが、たとえば中学卒業までは、とか、2年間までは、など子どもの意見を聞きながら、期間を決めて、その状態を受け入れるようにすると、親子とも少し楽になります。
その代わり、食事の支度を、メニュー決め・買い物・調理一式、子どもにさせることをおすすめします。
このメリットは、3つあります。

・食や家計への意識・知識が高まる
・一人で生活できるスキルを身に着けられる
・家にいることへの罪悪感が減る

病院に行こうと思ったら

分子栄養学を取り入れているクリニックに行ってみる

まずは、生化学に基づたアドバイスによって食べ物を変えることで、心も体も随分変わってきます。
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一般的にはすぐ、何かあると薬を出してくれる病院へ、と思ってしまいがちですが、薬は症状を楽にはしてくれても、根本的な解決はしてくれません。
体と心を作っている大元は、食べ物です。
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ちなみに、子どもの発達デザイン研究所でも、毛髪検査キットを用意していますので、こちらで検査してもらうだけでもまずは、何が足りなくて、どのような症状が出ているのかがわかるため、おすすめです。

理解度UPに必要な検査

漢方薬が効くこともあることを知っておく

不登校やうつなどは、児童精神科やカウンセリングに行くことも多いと思いますが、漢方で良くなった例もいくつも聞いています。
漢方薬を飲むことで、血流が良くなったり、代謝が改善されるため、ホルモンバランスや自律神経なども整ってくるためです。
漢方も薬なので人によっては副作用も出ますが、人工的に製造された西洋薬の、特に精神に効くものは副作用も多いので、漢方薬を扱っているクリニックに相談してみるのもおすすめです。

女の子は婦人科で相談するのも良い

女の子の場合は、婦人科で相談するのも一つの選択肢です。
ホルモン剤や漢方薬などでホルモンバランスが整ってくると、心も体も元気になってきます。
ただし、ホルモン剤は特に、種類や量によっては返って体調が悪化することもあるため、先生やクリニックとの相性も重要視した方が良いと思います。

TMS治療について

TMS治療は、コイルを頭に当てて、磁気による刺激を行うことによって脳の血流が良くなり、うつや発達障害などの様々な症状が改善されると言われている新しい治療法です。
こちらにその内容と、効果についてまとめた記事がありますので、ご参照ください。

TMS治療について

以上、ご参考になれば幸いです。

子どもの発達デザイン研究所の親の会ではこうした情報をシェアしています。

子ども研 親の会

NPO法人 21世紀教育研究所
の発行している「自分に合った学校選び」という無料の冊子に、関連記事を掲載させていただいています。
遠方の方で、どうしても読みたいという方は、メールでご連絡いただければ、差し上げます。(数に限りがありますので、上限に達した場合はご容赦ください)
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