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通信制高校

現在の通信制高校の実際は?判断基準は?メリット・デメリットは?体験リポート

この記事は、通信制高校合同相談会主催のお手伝いや、通信制高校で教えている体験などを通し、2024年現在の通信制高校の傾向についてお伝えする内容です。

通信制高校はここ3~4年で急速に変化している

肌で感じる実際の変化とその理由

通信制高校合同相談会や、通信制高校での授業を通し、通信制高校はここ3~4年で急速に変化していることを実感します。

その変化は大きく分けて2つあり、

1.生徒側の変化
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それまでは、全日制に通えない何らかの理由から通信制高校を選ぶ生徒がほとんどだったが、明確に意図を持って最初から通信制を選ぶ子が増え始めた
2.学校側の変化
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・塾や子どもの居場所などを経営する人が、次々とサポート校運営に乗り出した
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・各種専門学校が通信制高校と提携し、在学中に専門職の資格と高卒の資格を同時に取得できるようにした
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・全日制の高校が通信制高校の運営にも乗り出した
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・他校との差別化を図るため、各学校が様々な特色を毎年のように打ち出し始めた

です。

おそらく新型コロナウィルスの流行が大きい転機の1つだったように思います。
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初期流行時、学校の休校によって自宅学習を長期強いられたことにより、うつ状態になってしまったり・学校閉鎖が終わっても登校するきっかけを失ってしまったりした子どもたちが、通信制高校に転校するケースが多くみられました。
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ちょうどその頃、急激に進んだオンライン化の波に乗って、新しい形を模索する通信制高校・サポート校が出始め、コロナがひと段落した2021年頃よりぐっとその流れが加速し、それに伴って各学校が差別化を図ろうと様々な試みを次から次へと打ち出していく中で、通信制高校に興味を持つ子が増えてきた、というのが私の印象です。

合理的な進路の1つとして積極的に選択するケースも

通信制高校を選ぶ理由は様々だと思いますが、合理的な理由で積極的に選ぶ場合の主な理由をまとめると、だいたいこんな感じです。
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1.目指す大学があり、そのための勉強だけを無駄なくしたい

・通信制高校の通学コースを選ばず、自宅でのレポートとスクーリングだけを選択し、残りの時間は予備校や進学塾にがっつり通う
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・塾が経営するサポート校に身を置き、進学指導を受けることをメインに通学しながら高卒資格を入手
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・通信制高校と提携している大学へ進学する

2.プロのアスリートを目指しているので、勉強時間を最小限にしたい

ゴルフならここ、テニスならここ、卓球ならここ・・・というように、通信制高校によってはプロのアスリートを目指す子たちが在籍している強い部を持つ学校があり、そこに在籍しながら高卒の資格を入手

3.高校卒業後ではなく在学中に専門職の資格を取得したい

・製菓
・簿記
・公務員
・美容(ネイル、ヘアメイクなど)
・医療事務
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などの資格取得をメインで勉強しながら、合間にレポート提出とスクーリングをこなし高卒資格を入手

4.バイトに時間をがっつり割きたい

・通学コースを選ばず自宅でのレポートとスクーリングだけを選択、残りの時間はバイトに励む
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・通学コースを選択するもバイト優先でスケジュールを組み、空いた時間に学校へ行き高校生活を楽しむ

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通信制高校を選ぶ判断基準

通信制高校を選ぶメリット

■通学の義務がない

通学コースというのをよく見かけると思いますが、そのコースを選択しても通学の義務はありません。

週3日コース、週5日コースなどを設けている通信制高校が多いと思いますが、これらは
「そのコースを選べば、その分学校に来る権利があるけど、来なくてもいいよ」
というもので、全く行かなくても成績や単位に影響が出ることはありません。(注:ただし、スクーリングとして指定されている日は出席が必要です)
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空いた時間を持て余してしまうことから”やっぱり学校にも少し通いたい”という要望に応えたい/他校と差別化を図るためにさまざまな興味深い授業を用意したい…といった目的で、こうしたコースが開校されています。

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■自由時間が圧倒的に多い

通信制高校は、基本的には、次の2つの条件を満たせば、卒業できます。
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1.指定されたレポートを指定された期間に提出する

レポートとありますが、教科書を読みながら書く穴埋め問題だったり、教科書に書いてある公式を使って解く問題だったり、指定された動画を見ながら書く記述問題だったりが多いです。
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学校によってももちろん差はありますが、内容は中学1~2年生程度の学力があれば問題ないことがほとんどです。
量も少なく、教科書を読んで理解できれば答えられる内容であり、期限さえ守ることができれば、出来ないということはまずありません。

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2.指定された日数、スクーリングに出席する

スクーリング=面接指導は国(文部科学省)によって一定の規程時間、受講することが義務付けられています。
しかしながら学校によりその日数や、場所、内容が異なります。
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合宿形式で年にまとめて数日間行うところもあれば、季節ごとに数日間ずつまとめて行うところ、2週間に1回行うところなど様々です。
その内容も、オンラインで受講できるものだったり、美術館や劇場へ鑑賞に行ったり、専門家を呼び特別レクチャーをしてもらったりなど、学校ごとに・科目ごとに異なります。
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毎年、生徒の要望を取り入れて決めるところもあります。

とにかく自由時間がたくさんあります

これが最大のメリットであり、先述のように合理的な理由によって早い段階から通信制高校に志望を定め、無駄な勉強はしないで自分の描いた進路を進む、という子もどんどん出てきています。
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グローバル化・オンライン化が進み、またyoutubeなどで様々な情報をリアルタイムで入手できる今の世代の子どもたちにとって、
「自分のペースで効率よく興味のあることを勉強できるスタイル」
を追求することは、ごく自然の流れだと私は思いますし、教育の枠組みもそれに合わせて早急に変化することを求められている時代だということを痛感します。

通信制高校を選ぶデメリット

■一般的な全日制と比べ圧倒的な学力の差がつく

下記「全日制」と「通信制」の仕組みの違いによって、通信制を選んだ場合、圧倒的に学力の差がついてしまいます。

高校を卒業するためには、全日制であっても通信制であっても、
法律で、365日×3年間以上、高等学校に在籍すること、そして74単位以上を取得することが条件として決められています。
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しかしながらこの単位取得のための条件が、全日制と通信制とで異なっているのです。
全日制は、学年制
1年間に決められた教科の・決められた単位数を全て取らないと進級できない学年制を取っています。
その単位取得を認める条件として、学習指導要領の規程を元に、定期テストの点数・出席日数などを学校ごとに決めています。

文部科学省 学習指導要領にて、年間授業週数と教科ごとの年間授業時間が定められているため、夏休みなどを除き、週5日、毎日50分授業×5~6時限の授業を行っているのが一般的です。
(年間授業週数は35週以上。年間授業時間は、たとえば国語だけでも週6時限平均はこなさないとならない規程になっています。)
尚、平成5年より全日制でも単位制が認められるようになりましたが、あくまでも指定された授業時間分の履修が必要で、通信制の単位制の単位取得条件とはことなります。
通信制は、単位制
”既定のレポートを提出・定期テストに合格・スクーリングを受ける”という条件を満たせば、単位取得ができる単位制を取っています。
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スクーリングを除いて出席日数の決まりはありません。また、3年間在籍していさえすれば、その後何年までに卒業しないとならない、といった上限もありません。
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そのため、一年間に出さなくてはならないレポートを一週間程度で一気に仕上げてしまい、後は指定された単位認定テスト(年数回程度、学校により異なる)を受けたりスクーリングに出席するだけ…といったことも学校によっては可能ですし、何年もかけてゆっくり卒業する、といったこともできるのです。

通信制高校ごとに「最長何年まで在籍可能」というように規程を設けていますので、確認が必要です。

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そもそも、全日制・定時制いずれの高校にも、何らかの事情で通学することができない人のために設けられたのが通信制なので、働きながら・家事をしながらでも卒業しやすいようになっているため、先述通り通信制高校のレポートや試験内容は、全日制と比べると非常に簡単で量も少なくなっているのです。

そのため、3年間、毎日のように朝から放課後までがっつり学校で授業を受け続けてきた全日制の生徒とは、勉強した量で圧倒的な差がついてしまうのは避けられません。

・・・全日制であっても、かつての私のように「バンド活動やら友だちと遊ぶのやらに夢中で学校を休みがち or 行っても寝てます」みたいな人もいると思いますが f(^^;)ゞ、ここではそういうケースは省きます・・・


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■生活が不規則になる可能性がある

これはもちろん人によると思います。
通学コースを選択している生徒は、思いのほか朝からちゃんと授業に来ている子が一定割合いて、最初は驚きました。

「家にいるとつまらないから」
という理由が多いようです。
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また、行かなきゃならない!ではなく、行っても行かなくてもいい、といった緩い感じで心が軽くなり、結果として
「今日も行ってみるか」
という気持ちで行けているというのもあるようです。

ただ、やはり「行かなくても良い」ので、通学コースを選択していても学校に来ないか、最初は顔を出していたけれども来なくなってしまうといった生徒が多いのも実情です。

社会に出た時のために、毎日規則正しく生活でき登校できることを目指している、という通信制高校もあります。

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■運動系のクラブ活動がしづらい

全日制高校のように、体育館やグラウンド、プール、テニスコートなどを備え、クラブ活動が盛んです!といった学校は非常に少ないです。

学校によっては、柔道やフェンシング、筋トレなどができるような特別室が学校の建物内にあったり、人数がそれなりに揃う部であれば、地域の施設を借りて運営しているところもあるようですが、基本的には室内で完結できる文科系のクラブ活動がほとんどで、人数が少ない場合はそれも難しいケースもあります。

もともと私立高校だったところが通信制高校も始めた、とか、専門学校と提携しているなどのケースでは、施設が充実しているというところもあるようです。
ただ、クラブ活動の時は全日制生徒と一緒に・・・というのが前提だと考えていたほうが今のところはよさそうです。

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■思うレベルの学習指導を受けられない可能性がある

下記「通信制高校の課題」が背景となり、自分のレベルや目的に合った授業が受けられない可能性が高いです。

自分に合った学習指導を目的とする場合には、学習塾が経営しているサポート校に在籍し、個別指導などを受けるのが良いと思います。

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通信制高校側の課題といった視点から考えてみる

主要教科は生徒のレベルに合わせた授業をしづらい

通信制高校は、

・全日制のように ”入試で学力により振り分けられる” といったことがない
・通学コースを受講する人数が少ないところは、全学年が同じクラス

といった事情から、幅広いレベルの生徒に合わせた授業が求められます。

しかしながら、全く異なる目的・レベルの生徒を同じ時間でみることは、仮にそのクラスが少人数であってもかなり大変です。

生徒数が多く・先生の数も多い学校であれば、レベルに応じたクラス分けなど対応もそれなりにできると思いますが、細分化していくので当然その分学費も高くなります。

また、よくよく聞いてみると、基本は自習で先生が必要に応じてアドバイスする、といったスタイルを取っているところもあるようなので、注意が必要です。

私は国語を教えていますが、1年生から3年生が皆同じクラスにいる上に、大学受験を目指している生徒と、小学校時代からあまり学校に行かなかった生徒などが混在しているため、皆が満足できる内容の授業の実現となると、全日制でやっているような授業を行うのはまず無理です。
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さらに、大学受験を目指している子対象の専門クラスでは、推薦入学を目指している子は小論文中心・一般入試であれば長文読解に比重を置くといった工夫も必要です。
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私は今のところPowerPointを使ったり、同じテーマであっても個別の能力に合わせて応用問題を用意しアドバイスしていくなど、何とか工夫しつつ、かろうじてやっていますが、本来は学年ごと・レベルや目的ごとにクラスを分けるのが望ましいと考えています。
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しかしながら全日制とは異なり、次年度以降、同じレベルの子が同じ内容を希望し入学してくるかどうかは不明ですし、人数が集まらなければ実現は難しく、これからの通信制高校の大きな課題だと思っています。

他の通信制高校との差別化と内容の質

林立している通信制高校において、”いかに他校との差別化を図り、より多くの生徒を獲得するか”といったことを目的に、表向きは様々なうたい文句で魅力的なコースを用意するところが増えてきています。
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しかしながら、そのレベルはまちまちなので、注意が必要です。
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たとえば最近とりわけ人気なのが
「プログラミング」
ですが、本当に社会に出て役立つレベルの専門的な授業をしてくれるところもある一方で、体験レベルのところもあります。

どちらがいいというのではなく、自分の学びたい内容の授業をしてくれるかどうかということが大切であり、コースの言葉だけに踊らされず、実際に体験に行くことをお勧めします。
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通信制高校を選択する際、聞くと良いポイント

HPやパンフレットからでは全く伝わらない
「え、そんな素敵な特色のある学校だったの?」
ということが、直接話を聞いてみるとたくさんあります。

合同相談会やオープンスクールなどをどんどん利用し、いくつかの通信制高校に質問をして比較することを強くお勧めします。

以下、こんな質問をするとよいと思うポイントを挙げておきますので、ぜひご参考にしてみてくださいね。

①通信制高校なのかサポート校なのか
(高等学校と名のつく学校は通信制高校、それ以外はサポート校です)
②他の学校と比べ特色は?
③スクーリングの場所・日数・内容
④通学コースを選択した場合の授業内容(人数・レベルなど具体的に)
⑤専門コースを選択した場合の授業内容(人数・レベルなど具体的に)
⑥学校全体の雰囲気
⑦主な進路や進学実績


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